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◆◆15英兵拘束事件以降
<◆戦史
中近東FAQ 目次


(画像掲示板より引用)


 【質問】
 15英兵拘束事件とは?

 【回答】
 2007/3/23,ペルシャ湾北部で英海軍兵士15人がパトロール中,イラン革命防衛隊に拘束された事件.
 イラン側は領海侵犯を主張,英国は「そんなことはしていない」として対立.
 その後,約2週間後に解放された.


 【質問】
 15英兵拘束事件を起こしたのはイラン海軍なのか?

 【回答】
 2007/3/25付,時事通信などでは

>【カイロ24日時事】ペルシャ湾北部で23日に英海軍兵士15人がイラン海軍に拘束され

などと書かれておったが,これは誤訳に近いであろう.

 例えばガーディアン記事では,

It was also confirmed yesterday that the men had been detained by members of the naval force of the Revolutionary Guard, the organisation accused by both the US and Britain of channelling arms and other material to Shia militias in Iraq.

となっておる.
 正確に訳すのであれば,「イラン革命防衛隊海上部隊」と訳すべきであろう.

 我が海軍の名誉を汚すような誤訳には,イスラエル交通相の悪意ある陰謀を感じぜずにはおられぬな(笑).

イラン前国防相 by mailform


 【質問】
 英国兵士15人拘束事件の起こった Shatt al-Arab海域とは,どんな場所なのか?

 【回答】
 このShatt al-Arabが何故,いわくつきであるのかを説明しているブログがある.
http://pajamasmedia.com/2007/03/empire_of_the_mullahs_irans_im.php

 簡単なまとめとしては:
The Narrows: A waterway beset by ethnic cleansing.
・ Native Arab population of up to 500,000 “relocated.”
・ Resistance jailed, forced to confess, and executed.
・ Most politically sensitive area in the Middle East.<===
・ Controls oil shipments and trade routes
・ Iranian zone is the launch point for Iranian covert operations in Iraq.
・ Iran now controlling up to 40,000 agents in Iraq.

ニュース極東板


 【質問】
 なぜイラン革命防衛隊は,今回の英軍兵拘束事件を起こしたのか?

 【回答】
 2007/3/27付,「Stratfor」の推測によれば,モサドやCIAやMI6が最近,派手にやりすぎてイランの革命防衛隊が面子をなくすこともあって,ぶち切れた結果,英国兵士の拘束事件を起こして,拘束した兵士らを交渉材料にしようとした模様.

 同紙によれば,現在,イランとアメリカ,イギリス,イスラエルの諜報戦争が戦わされ,多くの事件が起こっているという.

 例えば,
・モサドによるイランのトップ核科学者の暗殺
・イスラエル国防省の高官,David Dahanのイランによるパリでの暗殺
・前イラン副国防相,Ali Reza Asghariのアメリカへの亡命

などの事件があり,さらに:

With this in mind, there have been recent indications from U.S. and Israeli intelligence sources that the British MI6 was engaged in an operation to extract one of its agents from Iran, but a leak tipped MOIS off to the plan.
According to an unconfirmed source, the IRGC nabbed the British personnel, as well as the agent, to use as a bargaining chip in order to secure the release of the five detained Iranians.
If these negotiations go poorly for Iran, the Britons could very well be tried for espionage.

 アメリカとイスラエルの諜報関連ソースに拠れば,英国のMI6はイランから一人のエージェ ントを引き抜く事を進めていて,それがイランの諜報機関にバレてしまった.
 イランの革命防衛隊が英国のスパイとイランのエージェントを逮捕し,それを西側に拘束されている5人のイラ ン人の引渡し交渉の材料にしているという.
 この交渉が上手くいかないと英国人がスパイ罪で起訴されることになる可能性がある.

The motive behind the seizure of the British servicemen is still unclear, but the operation likely was planned well in advance by key figures within the IRGC.
At this point, the Iranians are watching their backs closely, and are willing to take the political risk of flaring up another diplomatic dispute in order to plug further intelligence leaks.
 英国兵士の拘束の背景は明確では無いのだが,この計画がイラン革命防衛隊の主要なメンバー によって前もって企画されたことは大いにありそうである.
 この事件でイランは外交的衝突を起こす政治的リスクを覚悟の上で,諜報問題でのリークを防ぐべく,行動に出たといえる.

 その後,2007/3/29付同紙は,昨年11月の中間選挙で米共和党が敗退し,イランの過激派は元気一杯でアメリカに向けた攻撃を強めてきたが,アメリカが戦略を変えて対話を打ち出し,国際社会と一体化してイランの核 問題を締め上げたため,イラクなどでは軍事力強化を図る作戦に出て,イランはやり方を考えあぐね,防衛の弱そうな英国軍に目をつけて人質をとったのだという見方を示している.

 また,2007/3/26付,「ストラテジーページ」は,同事件をイラン国内の政治的抗争の立場から解説している.

1)
 過去数週間の間に,1ダース以上のイラン諜報機関の士官がイラク国内で米軍に拘束されている.
 イランの諜報活動が突然発見されて,遮断されてしまった.

2)
 外国で秘密工作や諜報活動を行なっているのは,過激派のアハマディネジャドの勢力 「ハードコア・イスラム武装派」である.
 より穏健派のイスラム勢力と対立している.

3)
 英国兵を拘束させた勢力も,アハマディネジャド勢力の「ハードコア・イスラム武装派」
 その過激な行為は,国内の対立勢力との政争の道具(愛国心を誇示)として使われる側面がある.

4)
 穏健派は安保理とのこれ以上の対立や,英国(西欧勢力)との対立を望んでいない.

5)
 イラン国民のマジョリティは,イスラム保守派が互いに抗争を繰り返して共に滅亡する事を歓迎しそうである.

 この政治抗争説については,それを裏付けるかのような情報もある.

 2007/4/1付,「サンデータイムズ」紙によれば,人質の英兵を巡り,イラン政権内で闘争が起きていたという.
 以下引用.

 イランの軍部のソースに拠れば,革命防衛隊の指揮官,Yahya Rahim Safavi少将は最高国家安全保障評議会に,事態が制御不可能に向かっていると述べて緊張緩和のため,英兵捕虜の解放を提案した.

 しかし,革命防衛隊のトップであるYadollah Javaniは,その提案を弱虫であるとして非難し,英兵の裁判を要求した.

 イラン政権内部で,穏健派と強行派の政権闘争が起こっており,英国兵士の扱いはその成り行きに依存しそうである

 一方,2007/3/26付,ウォールストリート・ジャーナル(米国版)の社説では,理由等を以下のように考察している.

1)
 国連安保理で,イランへの制裁決議案が決まる直前にこれを起こした,牽制か?

2)
 2004年にも外国兵士を拘束したが,その時には即時に解放している.

3)
 先月に前のイラン革命防衛隊の指揮官,Ali Reza Asgariが行方不明になっている.
 (西側に亡命したという噂がある)この事件の,人質などの引き換え交渉の可能性?

4)
 イランは西欧の人員の人質を取る事を時々やっていて,1979年のテヘランの米国外交官の人質,1980年のベイルートでの西欧人の人質事件など,過去の例がある.

5)
 別の可能性として,イラク国内で拘束されているイランの工作員との人質引渡し交渉の材料にしたい可能性?

6)
 いずれにせよ,革命防衛隊の持つ,西欧側へのたいへん挑戦的,挑発的で,軍事紛争に発展しかねない危険な手法を使っている.

 何にせよ,現段階ではどれもまだ推定の部分が多くあるので,その点は留意されたし.

ニュース極東板,仮訳も同じ


 【質問】
 15英兵拘束事件において,対イラン武力行使はありえたか?

 【回答】
 2007/3/29付の「Stratfor」紙によれば,その可能性は低かったという.

「英米イスラエルは,このままならイランへの人質奪還作戦があり得る,という情報をリークしているけれど,これは脅迫のためで,実現可能性は低そうである.
 西側はイラン近海で軍事力を増強してプレッシャーをかけているけれど,これも実際いの軍事オプションを使う意図というよりはデモンストレーションの圧力と見るべきである」
と書いていた.

ニュース極東板,仮訳も同じ


 【質問】
 アメリカもイラクでイラン人を拘束しているのに,イランによる英国兵拘束だけが批難されるのは不公正ではないのか?

 【回答】
 イランの革命防衛隊はイラクで資金と武器をテロリストに供給しており,米軍によるイラン人拘束は完全に合法.
 ゆえに2つの拘束は,分けて考えられるべき.

 詳しくは,2007/4/5付,ウォールストリート・ジャーナル社説を参照されたし.


 【質問】
 無条件(とされる)での英国兵士解放は,イラン政府が対外融和政策に転換したことを意味するのか?

 【回答】
 むしろその反対と見るべき.
 革命防衛隊は国連安保理の制裁決議案の決定の1時間後に,この拉致を行っている.
 この試みは,1979年の米国大使館事件のような,交渉のための人質を取るというイランのいつものやり方であるという.

 詳しくは,2007/4/5付,ウォールストリート・ジャーナル社説を参照されたし.


 【質問】
 イランは何故英国兵を解放する気になったのか?

 【回答】
 軍事的可能性さえいわれて,状況はイランにとって有利に運ばないと判断したものと考えられる.
 詳しくは,2007/4/5付,ウォールストリート・ジャーナル社説を参照されたし.

 また,カーネギー財団(前ICG)に在籍する,イラン専門のアナリスト Karim Sadjadpour によれば,英兵拘束事件の全体と,その処理はイランの失敗で,アハマディネジャドは経済制裁を恐れ,国際社会からの孤立化の危険を無視できない,としている.

 以下引用.

In characteristic fashion, Iran’s leadership is consumed by short-term tactics at the expense of long-term strategy. In the short term, Iran thumbed its nose at the West and put a smile on the face of millions around the world?especially in the Islamic world?who abhor Western policies in the Middle East.

But once the dust has settled in Tehran, more sober Iranian officials will come to realize that Iran has only increased the time and distance it will need to travel until it can reintegrate itself into the international community and assume its rightful position as a respected member of the league of nations.

ワシントンポスト紙

 なお,同紙によれば,Karim Sadjadpour のプロフィールは以下の如し.

Karim Sadjadpour recently joined the Carnegie Endowment for International Peace after serving four years as the chief Iran analyst at the International Crisis Group based in Tehran and Washington, D.C.

 2007/4/5付ストラテジーページでは,
「これは革命防衛隊とアハマディネジャドの過激路線が,国内の政治闘争で敗退した結果である」
としている.

 具体的にはハメネイ師などのより慎重な勢力が,アハマディネジャドの瀬戸際政策によって英米勢力との直接衝突になだれ込むことを避けたのだろうと書いている.
 先ごろ,アハマディネジャドの過激な核開発についての国連安保理との対決姿勢が,ハメネイ師に批判されたという経緯があるので,これはアハマディネジャドの2度目の失敗である.

The religious leadership, headed by Supreme Leader Grand Ayatollah Ali Khamenei, has a different agenda than the more radical elements of the country's revolutionary movement, represented by Ahmadinejad, and backed by the Revolutionary Guard Corps.

This is the second major defeat that Ahmadinejad has suffered at the hands of the religious leadership.

 2度の失敗を喫したアハマディネジャドについて,ストラレジーページは,彼は狂信的な過激派の革命家なので,今後もそういう路線を,あきずに繰り返しそうだ,と評している.

ニュース極東板


 【質問】
 今回の英国兵拘束事件について,国連やEUは事件解決のためにどのような行動をしたのか?

 【回答】
 欧州諸国は,イランとの「対話」という宥和政策を主張.
 英国は人質事件が解決しないならイランの輸出への政府信用保障を止めるように欧州諸国に求めたが,EUは非難声明を,国連は「重大な関心」を表明しただけだったという.

 詳しくは,2007/4/5付,ウォールストリート・ジャーナル社説を参照されたし.

 2007/3/27のロンドン・タイムズ社説は,そうした「弱弱しい態度」を,強い調子で批判している.

 以下引用.

It is all the more depressing, therefore, that the Western response has been so feeble.
Diplomats hint at a “face-saving” solution. Analysts point to splits and divisions in Tehran. Some misguided “understanding” of the kidnapping seems to inhibit any response that may exacerbate tensions. This is precisely the wrong message.
It encourages Tehran’s hardliners and probably prolongs the bargaining over the men’s detention.
Even the Shia-dominated Iraqi Government has called on Iran to release the men ? a far bolder call than anything coming from London or Washington. The coalition cannot allow Tehran to intimidate its neighbour. It must set a deadline for the men’s release and tell Iran bluntly that its piracy justifies immediate and more drastic sanctions.

 この事件に対する西側の反応が,余りに弱弱しいものであることには落胆させられる.
 外交官は「面子を立てる」解決法をいい,アナリストはイラン政府内部の内部抗争があるとかいっている.
 誤った,イランの拉致事件の「理解」は,事を荒立てることを避けようとしているようだ.
 それは,誤ったメッセージである.
 そういう事をすると,イラン側をより強硬にして解決の為のバーゲニングを長引かせるだけだ.
 シーア派の多数を占める(親イランの)イラク政府でさえ兵士の解放を要求し,米英政府より強い調子で話している.
 多国籍軍はイランが隣国を恫喝することを許すわけにはゆかない.
 だから兵士の解放に期限を区切ってイランに要求し,海賊行為は直接の,より強力な制裁につながると強く言うべきなのだ.

(仮訳:ニュース極東板)

 【質問】
 英兵拘束事件に対し,英国はどのようなルートでイランとの交渉を行ったのか?

 【回答】
 とあるブロガーの推測によれば,様々なルートでイランと接触を行い,「新しく,興味深いルートでコンタクトを続けた」模様.
 これは英国がイランに対し,いつでも対話できるルートがいくつもあることを意味しているという.

 以下引用.

それと,英国政府は

「一切イランと交渉しない
無条件の英兵解放のみ」

と言っていながら,
最初からいろんなルートで
イランと接触が行われていることが
断片的ながら
チラチラと伝わってきた.

英国は米国からの

「俺がイランに圧力かけたろか?」

という申し出を

「どうぞ,おかまいなく」

と,さらっと断った.(苦笑)
そして,突然の
イランからの英兵解放である.
そして,

「新しく,興味深いルートで
イランとコンタクトを続けた」

という,ブレア首相のコメントでしょ.(笑)

うーんんん...(苦笑)

「拉致問題の解決!」

と,叫んだ後に
相手が怒ってしまって
全く相手と接触する
ルートがなくなって,果ては

「私が対話のルートを作ってくる」

と,堂々と宣言して
相手のところに
行って来る人まで現れて
でも,その人が
なんのルートを作ったのか
さっぱりわからない
どこかの国の国民としては
これは非常に違和感があるというかね.(苦笑)

この事件は結局
どうやって解決されたのか
さすがに僕などには
わかりようもないけど
1つだけ言えることは,
英国は米国などと一緒に
ずっとイランの核開発に関して
制裁を課してきたわけだけど,
いつでもイランと対話できる
ルートがいくつもあると
いうことだよね.

「かみぽこぽこ」,2007年04月18日 04時59分04秒



 【質問】
 なぜそのようなルートが英⇔イラン間には存在するのか?

 【回答】
 同ブロガーは,BPを中心とした繋がりがあるだろうことを指摘している.
 また,互いを理解しうる非公式な人間関係が,英国⇔イラン間には残っているのだろうと推測している.

 以下引用.
前回,「中国編」では,

「HSBC(香港上海銀行)」

について書いたね.
つまり,英国籍の金融グループが
中国経済の心臓となっていると
いうことなんだけれども,
イランの場合,

「BP」(旧・ブリティッシュ・ペトロリアム)

ということになる.

世界最大級のエネルギー企業だけれども,
この企業のそもそもの成り立ちが
1909年に英国人・ウィリアム・ノックス・ダーシーが
ペルシャ国王から石油採掘権を取得して
発足した

「アングロ・ペルシャ石油」

で,その後ペルシャが
イランに国名変更すると

「アングロ・イラニアン石油」

になり,1953年にパーレヴィが
石油国有化を企てる政府を転覆して
王位に就くと

「ブリティッシュ・ペトロリアム(英国)」

と社名を変更して,
イスラム革命までの間,
イランの石油利権の40%を
握ってきたわけだ.

もちろん,現在BPは
イランにはいないわけで,
北海油田とアメリカの油田に
移っているわけだけど,
これは単純に影響力の低下とは言えない,

BPは川上の油田の権益を握ることよりも
他企業の買収・合併を繰り返して
石油の精製・小売り,
石油化学製品の製造・販売
天然ガス,発電事業と
川下を強化して
エネルギー産業全体への
影響力は強化されている
わけだからね.

また,前述した1950年代の
イランの石油国有化の動きでは
BPがイランから完全撤退の
動きを見せると,
イランはなにもできなくなったと
いう側面があった.

だから,イスラム革命後も
BP本体はイランから撤退したとしても
石油ビジネスでの英国との関係は
いろんな形で残ったと考えるほうが
自然だろう.

端的に言えば,
外国資本を追い出して,
国有化してみたはいいけれど,
いったい誰が
その国有企業を経営し,
工場を動かすのかということだ.

やったことない素人にいきなりそんなこと
やらせるわけにはいかないから.

だから,イランが国有の石油会社を作った時
その経営や工場の運営をやるのは
BPとかで働いていたイラン人ということになる.

つまり,現在のイランの
エネルギー関連の役所の幹部や
石油会社の幹部の人たちというのは
BPに「元上司」だった人がいるというのは
至って自然なことのような気がする.

イスラム革命後
イランと国交を断絶した
米国とは違って,
英国はイランとの関係は
ずっと維持されて
きているわけだしね.

こういう非公式な人間関係というのが
英国とイランの間には
しっかり残っていると
思えるんだよね.

僕は,こういう非公式な人間関係というものを
しっかり残していくことが
英国企業の現地化の真髄だと思っている.


それと,イランという国について
1つ指摘したいことがあるんだけど,
意外に知られていないことだけど
イランっていう国は
ある意味中東のイスラム諸国では
一番民主主義が発達している.

大統領選挙や議会選挙は
普通に行われるし.

イランには信教の自由も実はある.

キリスト教やユダヤ教の
コミュニティーも存在している.

ただ,その議会制民主主義の上に,
イスラム法学者がいるわけで,
その法学者の推薦がないと,
大統領選挙にも出れないということは
あるわけだけどね.

「大日本帝国」

並には民主主義があるというのが
僕の理解だけどね.

これは結構な高評価なんですよ.
戦争中に内閣不信任案が可決し
政権交代が起きた大日本帝国は
その当時としてはかなり高度に
民主主義が発達していたと
僕は考えていますので.(苦笑)

皆さんよくご存知の通り
イランは現在は相当に保守的な方が
大統領をやっているけど
民主化を求める「改革派」も存在していて
イスラム法学者は別にしても
行政府の官僚には
西側(米国を除く)で教育を受けた人間が
かなり多数いる.

もちろん英国で
教育を受けた人間も
相当にたくさんいる.

だから,イランという国は
教条的にイスラム教を信じるのではなく
西側をよく理解して
西側に対しても人間関係を
しっかりと維持して
現実的に行動する側面がある.

要するに,英国とイランの関係というのは
政治的にはイラン核開発の制裁で
冷え切っているのだろうけど
それとは別に
非常に現実的行動する両国なので
いろんな人間関係が
維持されてきているのだろうと思う.

だから,イランによる
英兵拘束事件の突然の解決は

「高度な外交戦の結果」

なんていう話では
実はなかったりして,
英国とイランの商人たちが
すりすりと寄ってきて

「また,わけのわからない問題が
起きてしまいましたなあ〜」
「なんとかせな,あきませんなあ〜」

なんて会話から,
ひょいっと解決策が
出てきたなんてことも
あるような気がする.(苦笑)

それが,

「新しく,興味深いルートで」

だったりしてね.(苦笑)
わけがわからないけど...

うひょひょ...

まあ,外交というのは
日頃からいろんなルートを
築いておくことが大切です.

「かみぽこぽこ」,2007年04月18日 04時59分04秒

 具体的にこれを裏付ける情報を本サイトはまだ持たないが,合理的に考えて納得しうる話ではある.

 【質問】
 英兵拘束事件に対する英国の反省点は?

 【回答】
 2007/6/29に出された国防相の報告書によれば,
・連合国からの情報が不足していたこと
・15名の拘束者が解放されたとき(四月九日)にブラウン国防相が行なった”メディアに出演して出演料をもらうことを許可する”との対応は誤り
とされている.

 また,
「将来,臨検任務にはスペシャリストが必要となる.今からそれに取り掛かるよう」
勧告されてもいる.

 【参考ページ】
おきらく軍事研究会,平成19年(2007年)6月25日付

 ただ,情報収集という点では,

まずもって,マスコミが
刻々と伝える情報だけれども
日本だと外国でこういう事件が起こると,
まず,第三国経由の情報というか
外国報道機関の報道を拝借するのが
メインになるけれども,
英国のマスコミは確実に
自前の情報ソースがイランにあり
自前の情報を取っていることが
明らかにうかがえた.

――「かみぽこぽこ」,2007年04月18日 04時59分04秒

という指摘もある.
 該当国のマスコミすら行えたことを,その国家の諜報機関が行えなかったなどということは,まず考えられない.
 したがって上述報告書の述べていることは,あくまでも「英国水準では」不足と言えたということであり,日本などのそれと同列に考えてはならないだろう.


 【質問】
 拘束された兵士らが体験談などをメディアに売ることを許可することが,なぜ批判されるのか?

 【回答】
 たとえば
Iran debacle shows failure to understand the British services
FT;イラン人質事件の政府の失敗は英国軍の存在意義を理解していないからだ

Published: April 10 2007 23:01
という記事では,被害者を英雄視するメディアのやり方に便乗することは混乱を起こすだけだと, おおよそ以下のような厳しい指摘をしている.

 英国兵士15人がイランに拘束された事件では,兵士らは一発の発砲も抵抗もなく拉致され,イランのメディアに囚人としてさらされ,目だった拒否的反応を示したわけでもない.
 それはどう見ても英雄的行為とは言いがたいもので,兵士らの困難な状況は理解できるが英国軍に勤めて,危険で困難な任務を果たしている無名の多くの存在を考えると,彼らを特別に有名人扱いする事はバランスを欠いている.
 英国軍には英雄的な行動をしている人は多くいるわけであるが,ネルソン卿に右腕をなくしたときの気持ちを尋ねるといった事はあり得るだろうか?

 この問題は,被害者と英雄を取り違えているというべきであり,それは今日では良く見られる事である.
 そうした混乱は英国軍のモラルと文化のハーツに傷をつける.
 英国軍はプライド,チームワーク,そして仲間意識(camaraderie)によって支えられている.

 イラクやアフガニスタンなどで任務に従事する軍人に,それらの任務よりも2週間のイランでの拘束がより高い価値があるというメッセージを送ることは宜しくない.国防省の過ちは,笑うべきものである.
Now the MoD has made them a laughing stock. It is a grave error that will not readily be forgiven or quickly put right.

 FTの社説は,ちょっと鋭いところがあって,メディアのスポットライトを浴びる人物なりが,メディアにとって,利用価値があるとしても,それは社会や国家の持つべき基本的な価値とは異なる,と当たり前のことを指摘していると思う.

 そしてそういう混乱は,何処の国でも起こっているように見える.
 小泉政権時代のイラク人質事件を思い出すと,メディアのそうした事件に対する扱い方には共通性があるように思える.

 メディア・フレンドリーを目指すポピュリストの政治家や学者や文化人にも,そういう傾向(メディアの利用価値=社会的価値,という誤解)は顕著なのだけれど,FTのような指摘をする向きは少ないので,混乱が一般化するのだと思う.

ニュース極東板


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