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D.B.E.三二型」(2010/12/31)◆スケトウダラ漁4社,露に5億円…違反黙認で
D.B.E.三二型」(2010/12/31)◆ビールや肉,何でも欲しい…露係官要求多彩

「VOR」◆(2012/01/30)南クリル問題,国民投票が解決

「VOR」◆(2012/03/02)日本政府:北方領土は「不法占拠」ではない

「VOR」◆(2012/03/05)日本 プーチン勝利に領土問題解決の期待

「VOR」◆(2012/02/06)ロシア社会団体:「北方領土の日は,我々の感情を深く侮辱する」

「VOR」◆(2012/03/02)プーチン首相会見 領土問題「引き分け」の可能性がある

「VOR」◆(2012/03/08)野田首相 クリル諸島4島返還を期待

「VOR」◆(2012/03/20)南クリル 中国人が進出 開発に従事

「VOR」◆(2012/04/12)日本とロシア 北方領土問題の協議

「VOR」◆(2012/04/19)日本海で密漁船 捕まる
> 露国境警備隊は日本海北部のタタール海峡でパナマ船籍の密漁船を拿捕し,カニの冷凍足76トンを発見.
> 露連邦保安庁サハリン沿岸警備局が伝えた所では,蜜傭船は事情聴取の為にコルサコフ港に入る.
> 今回の密漁船は日本の排他的経済水域で発見され,13名の乗組員はロシア人.
> 船長は水産資源捕獲規則違反の容疑で調査中.

「VOR」◆(2012/05/04)クレムリン高官:「領土問題チャンスない」

「VOR」◆(2012/05/05)日本 領土問題でロシアとの妥協を模索

「VOR」◆(2012/05/06)在モスクワ日本大使館 前原氏の発言を説明 通訳不正確

「VOR」◆(2012/05/12)韓国と中国の投資家 クリル諸島に投資

「VOR」◆(2012/05/30)韓国のケウムト建設 南クリル諸島に深水埠頭建設

「VOR」◆(2012/06/05)北海道とサハリンの間に夏季定期便が開通

「VOR」◆(2012/06/26)ロシア外務省 南クリル諸島への指導部訪問に外国のコメントは不適切

「VOR」◆(2012/07/04)ロシア首相の国後訪問 日本政府が「極めて遺憾」

「VOR」◆(2012/07/05)ロシア首相 国後島視察に対する日本の反応には関心なし

「VOR」◆(2012/07/09)日本 ロシアの議員,ジャーナリストに死の脅迫
>イタルタス通信が伝えた所では,露下院国際問題委員会のプシコフ委員長が南クリル諸島を露の領土だと発言したら,日本から自分の名前が何らかの暗殺リストに含まれたとのメッセージがツイッターに届いたと語る.
>プシコフ委員長は怒りを隠さずに,日本政府は露との関係調整・接触拡大を目指す一方で,クリルの領有権について自国の考えを非常に汚い形で押し付けようとしている,と二重路線を採っているように感じられると指摘.委員長は日本からの「非常にあからさまな圧力」に屈する事はないとの確信を示し,日本は「残念な二重路線」を放棄すべきだ,と呼びかけている.

「VOR」◆(2012/07/12)露首相 クリル諸島に健康リゾート施設を

「VOR」◆(2012/07/26)日本 係争諸島でロシアとの共同開発を検討

「VOR」◆(2012/07/28)露日外相会談:ロシア指導部はクリル諸島訪問を退けず

「VOR」◆(2012/08/03)クリル諸島の住民は「クレムリン」島には住みたくない

「VOR」◆(2012/08/07)玄葉外相,ロシアとの領土問題で「熱くならぬよう」指令

「VOR」◆(2012/08/14)ロシア海軍の船舶,クリル諸島に

「VOR」◆(2012/08/25)ロシア太平洋艦隊の艦船 クリル遠征航海実施

「VOR」◆(2012/08/26)日本,領土問題でロシアと新たな協議を計画

「VOR」◆(2012/08/28)ロシア軍参謀総長,クリル諸島駐屯ロシア軍部隊が強化

「VOR」◆(2012/09/05)小クリル列島の無名の島々授名さる

「VOR」◆(2012/09/08)南クリルは日本を呼ぶ

「VOR」◆(2012/09/08)プーチン・野田両首脳 領土問題協議で合意

「VOR」◆(2012/09/28)ロシアと日本 10月にクリル諸島に関する協議を実施

「VOR」◆(2012/10/15)日本とロシア 次官級で領土問題について協議実施へ

「VOR」◆(2012/11/02)ロシアの学者ら,クリル岩礁の名無しの島々に命名

「VOR」◆(2012/12/17)安部次期首相 ロシアとの領土問題解決を目指す意向

「VOR」◆(2013/02/27) イシャエフ極東発展相:露日協力はクリル問題の激しさを和らげる

「VOR」◆(2013/03/28) 日本,南クリルで活動中の米国企業に憂慮

朝目新聞」(2010/09/30)●北方領土で独自進化を遂げた!?国後島で発見された白いヒグマの全身画像が公開される  (of カラパイア)

「アルファルファモザイク」◆(2013/04/30) 【北方領土問題】 ロシアのプーチン大統領 「面積等分」に言及

「国際情報センター」◆(2009/12/25)北方領土問題:ロシアでの出版

「国際情報センター」◆(2010/08/02)北方領土関連資料:ヤルタ協定の舞台裏

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/09/10)ロシア  APEC閉幕 極東開発への日本の参加を睨んで,領土問題交渉も浮上

「ストパン」■(2009-10-03)10年前の「在日ロシア人」をめぐる議論

「ストパン」■(2010-11-12)[日露関係]またもやだいぶ遅れたけれど,メドヴェーヂェフ露大統領の国後島上陸について

「スパイ&テロ」◆(2010/11/01)ロシア大統領が北方領土訪問

「スパイ&テロ」◆(2010/12/24)駐ロシア大使更迭

「スパイ&テロ」◆(2010/12/25)前原外相「普天間」発言とロシア大統領「領土」発言

「スパイ&テロ」◆(2012/03/08)「プーチン発言」報道の誤解

「スパイ&テロ」◆(2012/05/08) プーチン北方領土交渉進展論のウソ

「スパイ&テロ」◆(2012/05/10) プーチン北方領土交渉進展論のウソ(その2)

「雪斎の随想録」:2つの外交懸案

「雪斎の随想録」:北海道根室支庁国後郡

「雪斎の随想録」:北方四島「面積等分」返還論

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/03/09)強気のプーチンが涙したロシア大統領選 新政権の今後の課題,対日政策を読む ――北方領土問題対策協会理事 茂田 宏

「ノーボスチ」◆(2012/01/31)ロ外務省:南クリル 国民投票という解釈は挑発
>アジア歴訪中のラヴロフ外相に同行している情報筋によると,日本のマスコミはラヴロフ外相の発言を歪めて不正確に解釈している,としている.

「原田義昭」:急げ,北方領土交渉

「六課」ACS◆(2013/02/06) クリル諸島で大規模演習が開始された

「六課」ACS◆(2013/02/09) 地対艦ミサイル「バスチオン」はクリル諸島へ配備されない

「六課」ACS◆(2013/06/08) 「追憶の航海」部隊はクリル列島のクナシル島へ到着した

「ワールド&インテリジェンス」◆(2012/07/04) ロシア首相の国後島訪問

「ワールド&インテリジェンス」◆(2012/12/21) またまた北方領土交渉進展イメージの幻想

「ワールド&インテリジェンス」◆(2013/02/22) 森=プーチン会談の茶番

「ワールド&インテリジェンス」◆(2013/04/29) 北方領土問題で交渉再開???

「ワールド&インテリジェンス」◆(2013/05/07) 「プーチンは2島返還で決着したがっている・・・」〜根拠なき定説はなぜ生まれたのか

『ロシアから見た北方領土 日本から見れば不法でも,ロシアにとっては合法』(岡田和裕著,光人社NF文庫,2012/6/30)


 【質問】
 なぜロシアは北方領土を返還しないのか?

 【回答】
 世論,他の国境問題とのリンク,自尊心,の3つの理由によるという.

 以下引用.

――――――
その理由は,一つは国内の世論が反対していること,もう一つは,北方領土返還が他の国境問題に波及するのではないかという恐れ,さらに領土返還は大国ロシアの自尊心を傷つけるという問題があります.
 したがってロシアは,日本との関係改善を願いながらも,領土問題については,同じ場所に逡巡しているのが現状です.

――――――小林和男著「ロシアのしくみ」(中経出版,2001/7/9),p.137

▼ また,「オホーツク海を SSBN の聖域にしておきたいという事情があるから」というのを動機として挙げるところもある.
 以下引用.

――――――
 ソ聯ならびにロシアが北方領土を手放したがらないのも,メンツの問題もさることながら,オホーツク海を SSBN の聖域にしておきたいという事情があるから.
 それには千島諸島の列島線をピケット・ラインにするのが基本で,北方領土を手放すとピケット・ラインに穴が空いてしまう.
 そこまで考えた上で,
「じゃあ,どういう落としどころにすれば先方は納得するか ?」
と論じてもらいたいところ.
 昔のアラスカじゃあるまいし,いまさらカネを積んだだけで売ってくれるもんか.
 だいたい,千島列島を全部押さえていても,オホーツク海の奥の方まで忍び込んで海底ケーブルに盗聴器を仕掛けていった原潜がいたというのに.

――――――kojii.net


 【質問】
 「孫子の代までかけてでも北方領土返還を実現する」というスローガンの有効性は?

 【回答】
 佐藤優によれば,むしろマイナスだという.

[quote]
 このような言い方をすると,ロシア人は日本が北方領土の早期返還をあきらめていると解釈する.
「この問題を孫子の世代まで残してはならない.われわれの世代で解決すべきだ」
と言ってプーチン露大統領に迫っていくのだ.
[/quote]

と彼は説明している.

 詳しくは,『佐藤優の「地球を斬る!」』,2007/12/5付を参照されたし.

 もちろん異論もあるだろうと思われるので,見つけ次第,追記予定.


 【質問】
 「北方領土ビジネス」とは?

 【回答】
 佐藤優の主張によれば,北方領土返還運動につく,年間12億円の予算を食い物にしている様々なイベントのこと.
 たとえば,ロシア語力もおぼつかない「有識者」を北方領土問題に関する会合に招き,「四島一括返還を堅持せよ」とか「とりあえず2島論はありえない」などという勇ましい講演をして,10万〜30万円の講演料をとるような,北方領土問題の解決には何ら寄与しない,無意味なことをやっているという.
 また,北方四島返還運動の原点である根室が,経済的に疲弊した状況にあるのに,ビザ無し交流で日本を訪れたロシア系住民が東京まで足を伸ばし,日本政府の予算を使って東京ディズニーランドで遊んでくるなどという,根室の住民感情を考えるならば不適当なことも行われているという.

 詳しくは
http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200808060002o.nwc
を参照されたし.

 ただし本サイトでは,この情報を肯定,または否定するだけの裏づけ情報を持っていないので,念のため.


 【質問】
 沖縄のように基地提供は認めれば,北方領土返還は可能にならない?

 【回答】
 無理でしょう.
 日米安保を維持したままロシアの基地も国内に置くのは,非常に微妙なバランスが必要になります.

 個人的には北方四島は
・一度帰属を日本とした後,50〜100年間ロシアに借款ということにする.(いきなり今住んでいるロシア人に出て行けとは言えない)
・その後,日本の資金で道路,学校(日本語学校含む),病院,港,空港等,公共施設を整備する.(どうせ帰ってきた後やるんだから良い)
・そして日本返還時に,希望するロシア人には日本国籍を与える.(日本語の読み書きができることを最低条件にする)
でいいんじゃないかと思う.

軍事板


 【質問】
 【質問】 日本人は北方領土を本当に欲しているの?

 【回答】
 返還を望む世論は,だいたい一貫して高い.

昭和44年度 世論調査
http://www8.cao.go.jp/survey/s44/S44-12-44-14.html
日本はソ連に対して,北方領土の返還をもっと積極的に要求すべきだと思いますか,それともそうは思いませんか。
  (70.8) 積極的に要求すべきだ
(5.9) そうは思わない
(23.2) わからない

1992年11月調査
Q. あなたはロシアが日本に北方領土を返還することに賛成ですか?
賛成         84%
わからない・回答なし 12.7%
反対         3.3%

 検索すれば,おそらく毎年ごとの数字を調べることもできるだろう.

 ただし,どんな条件下であっても……というものでもない模様.
 ソ連末期,多額の「経済支援」と引換に,北方領土返還が実現するらしいという観測が流れたときは,これを歓迎するムードはさほど無かったように記憶している.

 そのへんについては,以下のような解説がある.

――――――
北方領土なんてイラナイよ≠アれが庶民の正直な気持ちである.
 もう少し正確に言うと,あんなにグズグズ言うのなら=Cあんなにでけえ態度を取るならイラネェ≠ナある.
 人間怒るというのはまずその自尊心(プライド)が傷つけられた時なので,日本人のプライドを見事に露スケは傷つけたのである.
 何も傷つけに来るのはこの国ばかりではない.中国も,韓国も,アメリカもその通りである.
 つまり日本と日本人をナメ切ってるのだ.
 政治家よ,何をしてケツカルんだ.ナメられる土壌を作ってきたのは彼らなのである.
 外交なんざァ一口に言やァ国と国との騙しっこだ.そのためのブラフのかけっこなのである.
嫌ならよしな≠ナいい.本気であんなにまで言われてヘイヘイ,返してくれるのなら我慢します……≠烽ネいもんだ.
 それも返すか,返さないかワカラナイ相手に…….
 庶民はロシアが北方領土を返すなんて,ありっこない≠ニ知っている.
 それを返してくれるが如くに書き並べるマスコミも悪い.
 返してくれなくても日本人の生活は変わらナイ.
 敬愛する小室直樹先生ではないが,キミィ北方領土なんて返ってきたって,ヤケドも治せない連中が日本に入ってくるだけだよ=D

 〔略〕

 欲しがるから相手は高く売ろうとする.惚れるから相手はその気になって大(でけ)え面(つら)するのは当り前だ.
 放っときゃいい,何と言ったってこちとらァ経済大国である(本当はメチャメチャ苦しいけど).
 そのうち何とか買ってほしい∞買ってくれなきゃ粗大ゴミと交換してもいい≠ニ言うかも知れナイ.
 それほどの国に,なに恐れるのだ.
 その昔,レーニンが言ったっけ.
閣下,こんな屈辱的な条約にサインをするのですか
守る訳がないじゃあないか≠ニネ.
 本気で返してもらいたいなら国中で怒るはずだ.むしろ国中で怒っているのは,あの図々しいロシアの態度なのである.
 もっと言うと,返せ,返さない,なんて次元が低い.
(1992年)

――――――『談志人生全集』第3巻(講談社,1999.12.15),p.85-87

 ただし,立川談志は鎖国主義者(そうはっきり同書にも書いている)なので,その点は留意されたし.


 【質問】
 北方領土問題に関する,日本社会党のスタンスは?

 【回答】
 全島返還論と2島返還論の間を行ったり来たり.
 上住充弘・元社会党調査部長によれば,
1) 1955年の政策大綱では,「我々はヤルタ協定には関与しないから,あの取引は無効である.ソ連は南樺太と全千島(4島)を返せ」というスタンス. 
2) ところが1972.3.24,伊藤茂・国民運動局員(当時)は,「北方領土問題に関する見解」を出し,「帰ってくるのは2島でいい.これは沖縄返還とは質が違う問題だから,沖縄返還と北方領土とは関係ない」というスタンスに返還.
 ちなみに報道で,成田委員長時代に日本社会党が,ソ連共産党から10万ドルの選挙資金の秘密援助を受けたとされているのが,1972年3月.
3) 1978年,「全千島返還論」に回帰.
 ちなみに反「社会主義協会」闘争が起こり,ソ連派が一時後退したのが1978年
であるという.

 ふらつき過ぎ.

 【参考ページ】
『週刊文春』 1992.7.16号,p.43-44

【ぐんじさんぎょう】,2011/02/18 21:10
を加筆改修


 【質問】
 北方領土返還に対するロシア人の賛否は?

 【回答】
 意外にも,北方4島返還をロシア人の過半数が支持している,という世論調査結果がある.

北方4島返還,過半数が支持=ロシア世論調査で意外な結果 [6/23 時事](リンク切れ)
--------------------------------------------------------------------------------
 北方領土問題をめぐるロシアの世論調査で,過半数が日本への4島返還を支持するとの意外な結果が23日公表された.
 11月のプーチン大統領訪日を控えて返還反対論が支配的なロシアで,親日的な底流が存在するとの見方もある.
--------------------------------------------------------------------------------

 どの通信社の世論調査なのだろう?
 それとも「ВЦИОМ」のような民間調査会社なのか.ちょっと捜索して見たけど見当たらなかった・・・
 時事通信さん,引用元くらい書いてくれればよいのに.

 さて,この結果は意外なように思えますが,実はそうでもないのかもしれません.
 以下は3年前のロシアにおける対日世論調査結果です.

ロシアにおける対日世論調査 [平成一三年 外務省]
--------------------------------------------------------------------------------
 82%以上が北方領土問題の存在を知っているが,半分以上(58%)が日露間に平和条約がないことを知らない.
 48%が四島とも今後ともロシアに属すべきと考えている.
 本件を日露間で相互に合意すべきとの声が42%ある.
--------------------------------------------------------------------------------

 『日本への4島返還を支持するかどうか』といった,ストレートな表現での問い掛けではないので,今月23日に発表された世論調査結果との直接比較はできないのですが,『北方領土はロシアに所属すべき』と考えているロシア人は,3年前の段階でも半数以下である,ということは言えそうです.
 結構,モスクワ辺りの住民は,島に拘っていないのかもしれません.

「週刊オブイェクト」,2005年06月23日
青文字:加筆改修部分

 なお,この世論調査結果について,
「国境画定に伴い,一部領土の中国への割譲が今春決まり,中国の影響力増大への警戒感が,領土問題を解決して対日関係改善を図ろうという声の増加につながっているのではないか」
とする分析もある.
 詳しくは2005/6/25付,産経新聞(リンク切れ)を参照されたし.


 【質問】
 1993年10月の東京宣言の歴史的意味は?

 【回答】
 領土問題の対象を明確にし,その解決を目指すとした点.

 以下引用.

 この東京宣言は,日露関係にとっては,4島の帰属の問題と領土問題の対象を明確にしたこと,およびその問題を解決して平和条約締結を目指すとしたことで,90年代の両国関係の基礎となる画期的な文書です.
 しかし,実務的な関係は進んだものの,日露の平和条約交渉はこの宣言の調印以後,大きく動く気配は見えませんでした.

小林和男著「ロシアのしくみ」(中経出版,2001/7/9),p.


 【質問】
 1993年10月の東京宣言は,北方領土の日本への返還が担保された文書なのか?

 【回答】
 『SAPIO』2007年11月28日号の佐藤優によれば,日本外務省はそのように装っているが,実際は北方領土交渉の土俵だけを定めたに過ぎない,という.
 その根拠として佐藤は,
・東京宣言の文言では,4島が日露のいずれのものかの結論はまったく出ていない
という点を挙げている.

 詳しくは上述リンク先を参照されたし.


 【質問】
 クラスノヤルスク合意とは?

 【回答】
 1997年11月,シベリアのクラスノヤルスクにおいて,当時の日露首脳,橋本龍太郎首相とエリツィン大統領との間で交わされた合意.
 北方領土問題が択捉,国後,歯舞,色丹の北方4島の帰属問題であることを確認した東京宣言に基づき,2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くす,とした.

 「コメルサント」紙のクレムリン担当記者だったエレーナ・トレグボワが2003年に記した手記を引いて,江頭寛が述べるところによれば,エリツィンは突然,皇帝のような気持ちになり,差しの会談で島の返還を約束してしまい,側近に促されて「条約締結は努力目標」「領土問題棚上げ」といった逃げ道を用意したという.

 詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.283-284を参照されたし.


 【質問】
 川奈提案とは?

 【回答】
 1998年4月,静岡県川奈において,橋本龍太郎首相がエリツィン大統領との会談の中で行った提案.
 北方4島への日本の主権を認めるならば,ロシアが同意するまで施政権の返還を先送りする,というもの.

 江頭寛によれば,日本は橋本・エリツィンの個人外交に賭けており,日本の対露金融支援はIMFをも上回る積極姿勢を示すようになっていったという.
 そのときすでにエリツィンには強力な指導力は失われており,その後の11月の小渕恵三首相訪ロでは,ロシアは同提案への回答は示さず,解決の意思だけを明記した平和友好条約の締結を提案,日本側を落胆させたという.

 2000年9月の森・プーチン会談で,日本はロシア提案を拒否した.

 詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.284-285を参照されたし.


 【質問】
 2島返還論とは?

 【回答】
(1) 1956年に生じた「2島返還でやむなし」の動き
(2) 2000/7/27の野中広務・自民党幹事長発言から表面化した,領土問題棚上げを肯定するかのような動き.

 (1)では,鳩山一郎首相とブルガーニン首相との間で,共同宣言が調印.
 これは平和条約締結と,同条約調印後の歯舞・色丹両島の返還が盛り込まれていた.
 江頭寛によれば,ソ連はこのとき実際に返還する考えを持っていた可能性は高く,2島のソ連住民は同宣言後,2島を引き払う準備を始めていたという.
 しかし1960年の日米安保条約改訂にフルシチョフ書記長が反発,米軍の日本撤退を2島返還の条件にすると通告したという.
 一方,日本側にも4島一括返還派の巻き返しがあり,米国務省が
「もし2島返還で解決させるなら,米国も沖縄を返さない」
と重光外相に脅しをかけたこともあって,その後「2島返還論」はタブー視されてきたという.

 また(2)では,江頭寛によれば野中発言に国内から批判が渦巻き,野中自身,「従来の国論,方針からの逸脱はない」と発言を機動修正したが,タス通信はロシア外務省筋の「問題解決の極めて肯定的な要因になる」とのコメントを伝えたという.

 続いて2000/9/3のプーチン訪日の際には,アレクサンドル・ロシュコフ外務次官が「56年宣言」の有効性を認め,日本ではこれが日露首脳会談の唯一の成果だと評価されたが,すでにロシア外務省は下院での公聴会その他で「56年宣言」の法的有効性を確認しており,ロシアではこの「唯一の成果」とやらはニュースにもならなかったという.

 その次の2000/12/25の鈴木宗男とセルゲイ・イワノフ安全保障会議書記との会談(佐藤優・国際情報調査局主任分析官が同席)では,鈴木は会談後,「2島先行返還論を含む段階的解決論を模索すべきだ」と発言.
 江頭寛によれば,ロシアにとっては,残る2島返還は実質的に棚上げできる内容と映り,魅力的なものだったという.

 2000年11月末,ロシュコフは,4島の帰属問題を交渉の対象と定めた,1993年の東京宣言を事実上破棄することを条件に,「56年宣言」を基礎を交渉を継続する用意があることを表明.
 これは江頭寛によれば,2島返還だけで問題を決着させる機会を狙うものだったという.

 2001/3/25,森・プーチン両首脳が「イルクーツク声明」に署名.
 この際,日本側は,既に引渡しが確定している2島と,残りの国後・択捉は分離して並行協議するという提案を行った.
 江頭寛によれば,森は2島先行返還論を後戻りできない交渉軌道に乗せることに努力を傾注した印象を与えたという.

 しかし2001年4月に首相に就任した小泉純一郎は,4島一括返還論を主張.
 田中真紀子外相も2島先行返還論を批判.
 その後の政争やスキャンダル事件の中で田中は解任され,鈴木宗男は逮捕され,ロシア担当だった外交官たちも担当から外され,2003/4/23の日露次官級会談で「56年宣言」に基づく交渉継続を日本は拒否し,2島先行返還論は終止符が打たれた,と江頭は述べている.

 詳しくは,江頭寛著『プーチンの帝国』(草思社,2004.6.22),p.287-293を参照されたし.

▼ 一方,2島返還論に対し,佐藤優は以下のように批判している.

――――――
 周知のように日本の固有領土の歯舞,色丹,国後,択捉の四島は日本がポツダム宣言を受諾し,無条件降伏の意を表明した1945年8月15日の第二次大戦終結のあと,ソ連が軍隊を侵攻させ,不当に占拠して,いまにいたっています.
 不当な占拠であることが最も明白な日本の領土です.
 日本の歴代政権はみな,その返還を当然ながら四島一括で求めてきました.
 二島だけの返還を求めた政権はありません.

――――――『佐藤優の「地球を斬る」』,2006/11/29/15:18
――――――
 領土というのは主権国家の尊厳にかかわる基本の案件です.
 軽く半分だけを削って,手打ちにしようという性格の事柄ではありません.
 ロシアの国内政情も,国際情勢もなおどう変わるか,わかりません.
 年月をかけ,国内の団結を保って,四島返還を粘り強く求めていくことこそ,わが日本にとっての正しい道でしょう.

――――――『佐藤優の「地球を斬る」』,2006/11/29/15:18


 【珍説】
「あのとき(1956年10月の日ソ共同宣言調印による国交の回復のとき)ソ連は,歯舞,色丹の二島返還でけりをつけようとした.フルシチョフ氏の決断だったのだが,日本が応じなかったのは,米国が『二島で妥協したら沖縄を還さない』と強く圧力をかけたためだ.米ソ冷戦のもと,日ソの接近を警戒していた.
 もうひとつ,日ソ交渉に『四島』の枠をはめたのは,保守合同から間もない自民党内だった.鳩山氏に政権を奪われた吉田茂氏に連なる旧自由党系の議員らが米国に呼応して二島返還に猛反対していた」

若宮啓文論説主幹 in 朝日新聞,2006/11/27

 【事実】
 これに対し,佐藤優は「詐術のような虚構」だとして,以下のように指摘している.

――――――
 なおこの部分に関しては私は当時の状況を詳しく調査し,研究した専門家二人の見解をも聞きました.

 (1) 日本政府が当時,二島返還に応じなかった理由は『米国の圧力』だけだったように若宮氏は書くが,当時の日本政府は四島返還を自明のように考え,二島だけに傾く兆しはツユほどもなかった.
 若宮氏の主張に従えば,もし『米国の圧力』がなければ,日本政府は二島返還に応じたことになるが,日本側での当時の交渉につながる長いプロセスでも二島返還論は出ていなかった.

 (2) 「二島で妥協したら沖縄を還さない」という米国の圧力は,もし事実ならば,日本の外交史を大きく書き換えるほどの大事件なのに,具体的な証拠も論拠も若宮氏は示していない.
 北方領土問題を研究してきた専門家たちも
「そのような具体的な米国の圧力についてはまったく聞いたことがない」
と述べている.
 事実なら大ニュースとして朝日新聞は報道すべきだろう.

 (3) 「日ソ交渉に『四島』の枠をはめた」という若宮氏の表現も事実をゆがめている.
 北方領土は終始一貫して,四島であり,四島こそが本来の自然の姿であり,それはなんの「枠」でもない.
 むしろ二島の方が人為的,政治的な「枠」をはめた産物なのだ.

 このように若宮氏は日本側の北方領土返還はいかにも「二島」が主流の要求であり,「四島」はそれをゆがめた「枠」とか「米国の圧力」に屈した結果であるかのように書いているのです.
 コラムの終わりの部分でも,日本側ではあくまでいまも四島返還が公式の主流の要求である事実を無視して,二島返還あるいは四島以下の返還こそが多数派の,正しい意見であるかのような,ゆがんだ構図を描いています.

――――――『佐藤優の「地球を斬る」』,2006/11/29/15:18
――――――
 しかも若宮氏はプーチン大統領の任期が切れるあと一年余りの間にこの北方領土問題を二島(あるいは二島プラス)返還で解決することを提唱しています.
 外交交渉でなにかを求める側が自ら交渉に期限をつけることほど愚かなアプローチはないでしょう.
 しかも日本固有の領土を切り売りして,目先の解決を達しようというのです.
 これではロシアの主張そのもののようです.

 領土というのは主権国家の尊厳にかかわる基本の案件です.
 軽く半分だけを削って,手打ちにしようという性格の事柄ではありません.
 ロシアの国内政情も,国際情勢もなおどう変わるか,わかりません.
 年月をかけ,国内の団結を保って,四島返還を粘り強く求めていくことこそ,わが日本にとっての正しい道でしょう.

――――――『佐藤優の「地球を斬る」』,2006/11/29/15:18

 佐藤優の文章の信頼性だが,同氏はかつては北方領土を巡る交渉の当事者の一人であり,専門という点では問題ないと愚考する.
 ただし,佐藤には自我自賛傾向があるとする指摘もある(新井弘一=元東独大使 in 『諸君』 2005年12月号,p.88)

 もっとも上記若宮啓文珍説に関しては,何の証拠も挙げられずに,奇妙な「新説」を唱えているという時点で,論外と言っていいだろう.


 【質問】
 イルクーツク声明は,ロシアに対する日本の大きな譲歩だったのか?

 【回答】
 『SAPIO』2007年11月28日号の佐藤優は,そのように主張している.
 彼の説明によれば,1956年の日ソ共同宣言で,ソ連は平和条約締結後に歯舞群島,色丹島の2島を日本に「引き渡す」ことに同意しており,東京宣言で日露両国が平和条約締結について合意したのだから,その時点で日本への2島引き渡しは担保されたことになる.
 ところが,イルクーツク声明に「4島の帰属の問題を解決し」という,あたかも歯舞群島,色丹島の日本への帰属が未定であるかの如き文言を残してしまった,これは日本外務省の腰抜け外交だ――としている.

 詳しくは上述リンク先を参照されたし. 


 【質問】
 なぜ北方領土海域での漁業交渉では,ニシンが主要課題になるのか?

 【回答】
 ロシアではウォッカに最適な料理を極めることは文化的に重要なことであり,塩漬けのニシンはウォッカによく合う「国民的食料」だからだという.

 ロシアには,日本で言う「酒の肴」に相当する言葉があります.「ウォッカとセリョートカ」 セリョートカとは塩漬けのニシンです.
 ソビエト時代の日本とソビエトの大きな年中行事は,北方水域での漁獲割当量を決める漁業交渉でした.
 この席で,ロシアがニシンの漁獲量を大幅に制限しようと提案し,日本側を慌てさせたことがあります.
 抗議する日本代表に対して,ソビエトは「ニシンはロシアの国民的食料だ」と突っぱねました.
 ウォッカの組み合わせがあるからこそ,ニシンが国民的な食料に昇格しているのです.

小林和男著「ロシアのしくみ」(中経出版,2001/7/9),p.206-208

 「ザクースカ〔ウォッカ専用のつまみ〕」とは,ただのつまみではなく,何百年もの歴史や経験を積み重ね,ロシアが宇宙開発や偉大な文学を生み出すのと同じような情熱を傾けて生まれた,ウォッカに最も適した特別なロシア料理です.
 飲むとき,ちゃんとザクースカを食べれば,当日もあまり酔わないし,二日酔いにもならないというのです.
 その代表的な品々は,豚の塩漬けの脂身,ハム,にこごり,シチョウなどの肉類,いくら,サーモン,塩漬けのチョウザメ,塩漬けシシャモ,茹でジャガイモ,自家製のピクルス,酢漬けのキャベツ,きのこなどなどです.
 ロシアの偉大な作家・チェーホフは,
「塩漬けのキュウリより良いザクースカがこの世には存在しない」
と子孫に遺言を残しています.
 これほど「正しいザクースカ」を極めることは,ロシアにとって重要なことなのです.

同,p.206

 日本が鯨にこだわるようなものだろうか.


 写真は当まつりで,私が前の晩飯,朝食を制限してまで食した物.
 上から順に,
シューバ(ビーツ,ニシン,じゃがいも,タマゴを層にしたもの)
ベリメニ(ロシア風水餃子サワークリーム添え)
ヨージキ(ロシア風ミートボールのトマト煮込み)

食した感想「ウオッカ持ってこい!」

 …食してみてよく理解した.
 もっとも,これらは前菜扱いのようではありますが.



ぎんなんそう in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 北方領土について,日本側にはどのような利権が絡んでいるのか?

 【回答】
 不確かなソースだが,暴力団が関与していたり,重要な票田になっているという記事がある.

 以下引用.

 「北の漁場」の蟹が,いかに巨大な利権なのか.
 北海道大学スラブ研究所の荒井信雄教授の調査によると,ロシア側統計の「日本への蟹輸出額(98〜01年)が1億900万ドル(約126億円)であるのに対し,日本の「ロシア産蟹の輸入額」は5億5900万ドル(約648億円).
 つまり,ロシア産蟹の約80%が密漁であると結論付けており,年額にして130億円以上の不当利益が生まれているのだ.

 〔略〕

 日本側で,そうした〔ロシアの〕密漁マフィアのカウンターパートになっているのが広域暴力団だ.
 前出の本田記者〔北海道新聞記者で「密海の海で」の著者,本田良一〕が指摘する.
「80年代,レポ船に代わって密漁の主流になったのが,強力なエンジンを積んでロシアの警備艇や海保の巡視艇を振り切る特攻船≠ナ,暴力団関係者が考案して広がった.
 その後,警備隊に賄賂を贈ったり,許可証を偽造して正規の輸入を装うなど,密漁・密輸手段が複雑化している」

 〔略〕
 カニかご漁の免許を持たない船が獲った蟹は,世紀のルートで市場に流せないため,暴力団が仕切る露店販売などに流される.
「密猟者はリモコンで浮き沈みするブイをとり付けた蟹かごを沿岸の岩場に沈め,100s単位で引き揚げて闇ルートに出荷する.一度に流せば足がつくからです」

 〔略〕

 北方領土が絡む日露の漁業交渉では,中間線の引き方や,日本の特定の漁船にロシア側での操業を認める協定など,幾つもの政治的取引がなされてきた.
 北海道選出の国会議員は,そこで力を発揮しないと選挙に勝てない.
「水産は道内の大産業で重要な票田だ.漁師も水産物輸入や加工会社も議員の後援会に入り,献金をして漁協ごとにどの政治家の系列化が色分けされる.
 そうしないとロシアでの操業許可をとってもらえないし,貿易もできない.
 中でも利幅の大きいカニ漁は,その傾向が顕著だ.

 政治家の講演会に入るのは,拿捕されたときの保険の意味もある.
 政治家は系列の漁民が拿捕されたときに救えるように,日頃からお忍びでサハリンに飛び,マフィアと近い現地の州政府幹部に贈り物をするなど,パイプ作りに躍起になってきた」(北海道の地元議員)

 ある自民党議員は国会直前に後援者と極秘にサハリンに行ったものの,天候悪化で帰国が遅れ,委員会に出席できなくなり,大顰蹙を買ったエピソードもある.
 〔略〕
 ロシアが居丈高な態度をとっているのは,「北の漁場」の闇にどっぷりと浸かってきた日本の政治家は,「密漁問題」で抗議など出来まい――と,完全に見下しているからなのだ.

「週刊ポスト」2006/9/8号,p.28

▼ 遠洋マグロ漁師の,次のような証言もある.

――――――
「ロシアの方じゃ,日本の海域でカニをとることを当り前にやってるんだ.
 よくニュースとかでやってるだろ.でも,あれはマスコミ向けに映されたもので,本当のところは,地元の人たちも案外,割り切っているみたいなんだ.
 ロシアの連中も警戒されると仕事がやりにくくなるから,日本人の漁師を雇ったりして,色々カモフラージュしているらしいよ」

――――――草下シンヤ著「裏のハローワーク」(彩図社,2004.6.13),p.30



 【質問】
 なぜ北方領土利権が跋扈するのか?

 【回答】
 不確かなソースだが,根室が密漁に頼らざるを得ない社会構造になっているためだという報道がある.

 以下引用.
 漁業関係者が声を潜めて打ち明ける.
「花咲ガニの水揚げ量はピーク時の10分の1程度になったが,それも密漁で採ったものがほとんど.
 根室には,他に目立った産業がなく,この街の経済は,こうして採られたカニが何とか支えている」

 確かに,根室市は地盤沈下が続いている.
 77年の200カイリ施行で北洋の好漁場を奪われた漁師たちは次々と廃業.
 最盛期に5万人近かった同市の人口は,今や3分の2に減った.
 漁師が廃業したことで,卸・加工・観光などのカニ関連産業も次々と倒産という悪循環が続く.

 夜,街の飲食店街を歩いた.
 約100軒ものスナックの看板があるが,一晩中,明かりのつかない店舗が目立つ.
 40代のママがため息混じりに語った.
「昔は,漁師が腹巻に札束を入れて飲みに来てくれたけど,今はごく一部.
 坂下さんは数少ない羽振りのいい人で,よく
『ロシアでまた危ない目にあった』
なんて武勇伝を披露していたね.
 でも,カニをたくさん水揚げする漁師が町を支えているんです.
 どんな手段で採られていようと,それに頼るしかない」

「週刊ポスト」2006/9/8号,p.29

 まあ,残酷な物言いになるかも知れませんが,CDが一般化した後もレコード針を作り続けている会社のようなもので,どこかで体質転換しないと,ますますドツボに嵌まるだけではないかと.

 【質問】
 北方領土海域で漁船拿捕があったときに,TBSの朝の番組で女性コメンテーターが
「自衛隊の巡視船で漁船を守るなどの方策を採るべき」
と主張していたのですが,蟹工船の時代じゃあるまいし,自衛隊が正面に出て何か出来るのですか?(法的にも装備的にも)

 【回答】
 軍艦で護衛された漁船が越境して密漁したら,侵略行為になってしまうぞ.
 たぶんロシアも,相応の対応をする.

 マスゴミの言う事は眉に唾付けて鼻で嗤っとけば良し.


 【質問】
 千島奪還戦やったら勝てますか?
 今,〔極東〕ロシア軍ボロボロなようですし,占領できそうな気がするんですが(全千島).
 いっそのこと実効支配しちゃえばいいのにと思うんですが,もしやったらどうなるんでしょう?

 【回答】
 かつてのフォークランド紛争のノリですね.
 日本がアルゼンチンでロシアがイギリスです.
 問題はロシアの底力ですが,あの時もアルゼンチンは今のイギリスには奪回する力は無いとの判断でしたが,結果はイギリスが大英帝国の意地を見せました.

 で,もし武力占領したら国際世論の非難を受けるのは日本でしょう.
 千島列島は軍隊だけがいるんじゃありません,住民も住んで生活を営んでいます.
 これに被害が出たら(出なくても),ロシアは日本軍の奇襲で罪の無い市民が殺されたと派手に宣伝すると思います.
(アメリカなんかはパールハーバーを思い起こすんじゃないですか?)
 日本にとって現状では国際世論が味方に付く可能性が低いので,武力による占領は仮に出来ても,その後にそれが国際的に認められるかは難しいと思いますよ.

 失敗すると失う国際的信用は計り知れないと思います.

軍事板



 【質問】
 米はじめ国際社会に非難されるから正当な主張もできないわけ?
 不当な武力侵攻し,今なお不法占拠してるのはロシアのほうじゃない.
 裏庭を不法占拠してる強盗を実力で排除するのは当然のこと.
 それを話合いで解決しようというほうが間違っている.
 国際社会なんかの理不尽な圧力に屈するべきではない.
 それとちなみに,千島が日本の領土であるということは東欧諸国,中国,韓国はじめ多くの国々に支持されてますよ.

 【回答】
 根本的な話しとして,あれは日本が第二次世界大戦で枢軸側に与(くみ)して戦って負けて失った領土だって認識をもって下さい.
 かつては日本領土や委任統治領だった樺太や南洋諸島だって,同様な手段で日本が手に入れて,太平洋戦争で負けるまでは返還する気などさらされなかったのです.(その立場が逆になっただけです)
 平時に突然,国境を超えて不当に武力占領されたクェートの様な例とは,訳が違うのですよ.

 第二次世界大戦で領土を失った国は他にもあります,
 日本だけが特別じゃありません,
 もう少し頭を冷やして下さい.

 それに,お忘れか?
 わが国には敵国条項が存在する上,相手は戦勝国.
 その場合,国連決議を待たずロシアは動けます.
 賠償金ふんだくられて,国際的孤立を深めるだけですな.

>国際社会なんかの理不尽な圧力に屈するべきではない.

 それだと第2の北になっちゃうよーん.
 「正当な主張」というのはいくらでも用意できます.
 というか,自身の主張を正当化するのが最終目的です.
 国際社会に認めさせてナンボです.
 たとえ戦闘で圧勝したとしても,国際社会が認めなければ日本の負けです.
 史実として正当でも,国際政治では意味ないです.
 逆にどんな無茶な主張でも,それを国際社会に認めさせれば,その主張は「正当」です.

 なお,戦闘で圧勝,は例えばの話で,実際にはありえませんので,念のため(笑).

軍事板


 【質問】
 千島列島にはロシアの軍事基地は無いんですか?

 【回答】
 あるよ.
 ただ,陸海空どれも貧弱で,何とか防衛の拠点になる・・・かな,という程度.
 いわゆる「北方四島」には各所にJS-3型戦車が置かれ(本当にただ置いてあるだけ)ていて,トーチカの代用にされていた.
 これらは今でも変わらず置かれているが,既に錆びの塊と化して実用には耐えない模様.

 冷戦期には国後だか択捉だかに,MiG-23が配備されていたこともあったが…….

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「第18機関銃-砲兵師団」について教えられたし.

 【回答】
 クリル諸島南部のイトゥルプ島及びクナシル島に駐留する師団です.

 現用装備は以下の通り.

BM-21「グラード」ロケット砲×18

・2A36「ギアツィント-B」152mm砲×36
9K37M1「ブーク-M1」高射ミサイル×12

9K35「ストレラ-10」高射ミサイル×12

・ZSU-23-4「シルカ」自走高射機関砲×12
・D-30 122mm榴弾砲×12
・2B14「ポドノス」82mm迫撃砲×18
・ZU-23-2 23mm高射機関砲×8
・T-55戦車×62

T-80BV戦車×32

「六課」ACS,2013/02/06
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 なんでロシアは北方領土に大規模基地を作らないの?
 もし基地があったら脅威になると思うんだけど.

 【回答】
 本土から遠く,冬には流氷で閉ざされてしまう環境なので,基地を構築することそのものがとても難しい.
 ソビエトは莫大な予算と手間をかけて,本格的な各種基地を設営するだけのメリットがないと考えていた.
 確かに千島(クリル)諸島を押さえておかないと,オホーツク海を自国海軍にとっての「聖域」にできないが,膨大な予算と手間をかけて守らねばならないような何かが,オホーツク海沿岸やサハリンにあるわけでもなし.
 潜水艦発射弾道弾の射程が向上して北極海を「聖域」にできるようになると,ますます軍事的な意義は薄れることになった.

 また,日本人からだとなかなかその感覚がつかめないが,仮にソビエトの方から考えた場合,クリル列島に大兵力を配置しても,容易に補給路を遮断されて孤立させられ,北海道から一気に攻め込まれて退路のないまま全滅する可能性がある.
 その「敵に近すぎる」立地は,大兵力の配置拠点としては,はなはだ不安な地域だった.

 基本的に日本に近すぎるんだ.
 基地も作って終わりじゃない,
 戦争中も兵站を維持しなきゃならない.
 もっと後方の樺太からでも作戦行動できるのに,日本の戦闘機や軍艦がウヨウヨしているところに,無理に輸送船を出しても疲れるだろ?

 この辺の事情はソビエトがロシアになっても変わらない.
 なので今でも,あの諸島域は軍事的には「半分捨てられた」場所のまま.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 メドヴェージェフ政権下で,北方領土の軍備が増強されるというのは本当ですか?

 【回答】
 嘘に近い.

 北方領土って人口が1万6千しかいない.
 そこに大規模な兵力を駐留させるのは無理がある.
 食料だけでも現地調達出来れば良いのだが,現地で流通する食糧は有限だし,予備部品・燃料などのほっといても消費するものは,定期的に補充してやる必要がある.
 兵站に掛かる負担が半端無い事になる.

 だから,北方領土に限らず離島防衛の基本は,「一旦取らせてから取り返す」となる.
 尖閣の漁船衝突事件のとき,尖閣に防衛戦力を駐留させるべきという意見が相次いだが,それは無意味なだけでなく,有害でしか無い事を説明しまくったのだが,なかなか納得してもらえなかった.

 今回も似たようなもので,ロシアの北方領土駐留部隊の「軍備増強」と言うのは,ただの
「あまりにも古すぎる装備を,最低限近代化するだけの装備更新」
に過ぎず,兵力は増えるどころか減らされる予定.
 わけも分からず騒いでいる人がいるが,大して意味のある事ではない.

――――――
強襲揚陸艦で北方領土防衛 露参謀総長が表明

(前略)
 また,千島列島に駐留する部隊の装備近代化計画を,近日中に大統領に提出すると明言.
 これに伴い,現地に駐留する兵員は削減され,現在5カ所ある駐屯地区は2カ所になると述べたが,兵員の具体的な削減幅には言及しなかった.
 現在の駐留兵員は約3500人.
――――――

――――――
北方領土の軍備強化は無意味 露軍事評論家が指摘

(前略)
 同紙評論員の軍事専門家フェリゲンガウエル氏は,連邦政府の財政赤字が続いている折,人口約1万6千人の北方領土でインフラ整備を進め,さらに最新型の兵器を配備するのは,
「極めて不釣り合いな出費だ」
と指摘.
(後略)
――――――

 北方領土に駐留するロシア陸軍は,第18機関銃・砲兵師団と呼ばれる,名称からはどのような部隊なのかよくわからない部隊です.
 この部隊は新戦略構想により編制改変中のロシア陸軍に於ける最後の“師団”である事からも,ロシアにおける北方領土の防衛優先順位が分かろうと言うもの.
 ちなみに,古い編制では「大隊―連隊―師団―軍(大隊以下は省略,以下同様)」という編制であったのが,新たな編制では「大隊―旅団―軍」となり,編制単位の連隊と師団が無くなり,旅団が新設されている.

 閑話休題.ちなみに第18機関銃・砲兵師団は「師団」と呼ばれてはいるが,上記記事から判るように人員は3500名しかいない.
 自動車化狙撃師団の定員が1万3千名である事から考えても,大きく定員割れを起こしている第2線級の部隊でしかない.
 実質は旅団規模だ.
 しかも今回の“軍備増強”で,人員がさらに削減される模様.
 これの何処が,軍備増強やねん!
 ただの装備近代化に過ぎんやん!

 そもそも,元の装備が旧式すぎるのです.
 主力戦車がいまどきT-55ってどうよ?
 何処の第三世界諸国?
 第1世代主力戦車って,自衛隊でももう使ってないよ.
 しかも更新される主力戦車もT-80BVだし,最新型からは程遠い.
 一応は第3世代戦車だけど,生産会社が倒産しているわ,ガスタービンだから補給が大変だわで,問題ありまくりな戦車なのですが?
 どうしてこれに騒ぎ立てるかね?

 政治・政策コミュニティの某トピックで,そのことについて説明したら御理解していただけた,「みっちゃん」さんのカキコを引用して,この騒動の在り様を総括したいと思います.

――――――
56 2011年02月26日 20:35 みっちゃん

(前略)
 バカな国民感情で バカなまま過激な行動を起こしても,国際社会からは,かえってバカにされるってことですな
――――――

鉄底海峡 in mixi,2011年02月27日12:34
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 北方領土問題ですが,南樺太や千島列島はともかく,歯舞群島や色丹島には敵の駐屯兵士が居ないから,公務員を高速艇で上陸させるだけで奪還できるんじゃないでしょうか?

 【回答】
 その後ロシア軍が絶対反撃してこないならね.
 例えば先島諸島は,自衛隊や在日米軍の常駐兵力は居ないが,中国軍が先島諸島を占領したら自衛隊か在日米軍が奪還に向かうだろ.

 また,それをやると,多くの無人島に大量の兵員を置かなければならなくなる.
 敵が制圧部隊を繰り出してきても撃退できるだけの戦力を,常時備えておかなければ駄目.
 離島の駐在所みたいなものでは全く無意味だからね.
 陣地ゲームじゃないんだから,1人でも上陸すれば勝ち,という事にはならないんだ.
 実効力を持って制圧し続けないと,ロシア『一時不法滞在者が居るようだけど,そこは我が領土である』と言われればそれまで.

 凍りついた岩だらけの島に,師団級の設備と人員を注ぎ込んでも,国境線が少し複雑になるだけというオチが待っている上に,ロシア側は態度を決定的に硬化させて来るだろう.

 だから日本政府もロシア中枢と,一見無意味に思える交渉を忍耐強く続けているんだ.

戦争・国防板,2010/02/18(木)
青文字:加筆改修部分


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