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南アジアFAQ


 【Link】

「VOR」◆(2012/04/16)インド 弾道ミサイル発射実験を計画

「VOR」◆(2012/04/19)インド 初めて長距離大陸間弾道ミサイル打上実験

「VOR」◆(2012/08/25)インド 核弾頭搭載可能な弾道ミサイル発射実験に成功

「VOR」◆(2012/09/19)インド 核弾頭搭載可能な中距離ミサイル発射実験 成功

「VOR」◆(2012/09/20)インド 核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイル発射実験 成功

「VOR」◆(2012/10/06)インド,弾道ミサイル「ダヌシ」発射実験に成功

「VOR」◆(2012/10/09)ロシアとインドの超音速ミサイル ほぼ戦略レベルに

「時事通信」◆(2011/12/07)インド核実験を正確に予期=核密約明かした村田元外務次官

「週刊オブイェクト」:インドの弾道ミサイル,K-15サガリカとシャウルヤの関係について

「週刊オブイェクト」◆(2010年03月20日)インドMD実験失敗,迎撃ミサイル発射できず

「ワレYouTube発見セリ」:India ABM Prithvi(プリトビ弾道弾迎撃ミサイル)


 【質問】
 インドとパキスタンは,それぞれ核兵器をどれだけ持っているのですか?

 【回答】
 両国共に,核弾頭保有数は公表していないが,アメリカの核問題専門誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスト」によれば,2002年現在,以下の通りと推定されています.

保有核弾頭数(推定) 運搬手段
インド 30〜35 ・MiG-27攻撃機×165
・ジャギュア攻撃機×131
・ミラージュ2000D(購入交渉中)
・短距離弾道ミサイル「プリトビT」(射程150km)×3〜5
・中距離弾道ミサイル「アグニT」(1500km):開発中
・同「アグニU」(2000km):開発中
・SLBM「サガリカ」:開発中
・海上発射型弾道ミサイル「ダヌシュ」:開発中
パキスタン 24 or 48
(他に,30〜52発分相当の核分裂性物質を保有)
・F-16A/B戦闘機×32
・短距離弾道ミサイル「シャヒーン1」(700km)
・同「シャヒーン2」(2500km):開発中
・中距離弾道ミサイル「ガウリ1」(1100km)×12
・同「ガウリ2」(2000〜2300km):開発中
・同「ガウリ3」(2500〜3000km):開発中

(福好昌治「くすぶる火薬庫『印パ情勢』危険度調査」 from 「丸」 '02 Sep.)

「ガウリ2」ミサイル
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 印パ核戦争が起こる可能性は?

 【回答】
 福好昌治によれば,どちらが先制使用しても,どちらの側にも被害を及ぼすため,その可能性は低いという.
 以下引用.

 通常戦力で優位にあるインド軍が,パキスタンに対して先に核兵器を使用することは,まず考えられない.
 先に核兵器を使うとしたらパキスタン側だ.通常戦で劣勢になったときに,一挙に戦況を逆転しようとして使うわけだ.
 だが,第一撃でインド軍を壊滅しない限り,報復核攻撃を受ける.
 現実的には,インドのほうが比較的縦深が深い(東西南北の距離が長い)ため,核部隊を全土に分散することで,パキスタン側の先制核攻撃に生き残ることができる.
 これに対し,パキスタン側は比較的縦深が浅い(東西の距離が短い)ため,核攻撃にも大規模な通常戦力による攻撃にも脆弱である(逃げ場がない).
 このように考えると,パキスタンが核兵器を先制使用する可能性も低いと言えよう.

 加えて,「隣接する印パ両国には,大自然の抑止力がある」と,アジア経済研究所の深町宏樹・研究主幹は指摘する.
「インドがパキスタンに核爆弾を撃ち込めば,死の灰が偏西風に乗って逆流してくる.
 また,パキスタンのインダス川からアラビア海に流れこんだ死の灰は,インド西海岸の漁業を壊滅させる.
 パキスタンがインドに核爆弾を撃ち込めば,インドにあるインダス支流が死の灰をパキスタン川に流し込む.
 ガンジス川も死の灰を流し,インド国内およびバングラデシュのムスリムをも苦しめる」(『世界週報』2002年6月25日号)

 国家存続の危機に陥ったときに,パキスタンがインド国内やバングラデシュのムスリムのことまで考えるかどうかは分からないが,国境を接する中規模国家同志の核戦争が想定しにくいことは確かだ.
 ただし,これは第三者的立場で見た場合の話であって,当事者は,敵が核兵器を使うかもしれないという,最悪の事態を想定するだろう.
 となると,核戦争に発展する恐れがあるため,大規模な通常戦争が勃発する可能性も少ないだろう.カシミール地方での武力衝突は今後も頻発するが,それが第4次印パ戦争に発展する恐れは少ないということだ.

(福好昌治「くすぶる火薬庫『印パ情勢』危険度調査」 from 「丸」 '02 Sep.)

 ただし,パキスタン軍部では過激原理主義者が主流派である(アジア経済研究所)ため,狂信的情熱が現実的判断を放棄させる可能性はあるでしょう.


 【質問】
 インドの核開発の歴史は?

 【回答】
 インドは元来,平和利用路線に立った原子力開発に熱心であり,独立から9年目の1956年には研究炉の運転を始めた.これは日本や中国よりも早い,アジア初の原子炉だった.

 65年には,プルトニウムを取り出すための再処理工場を完成している.
 98年のインドの核実験に驚いた日本人が少なくなかったが,独立以来のインドの核研究の蓄積を考えれば,能力的には殆ど意外性がない.

 ソースは浅井信雄著「アジア情勢を読む地図」(新潮文庫,2001/12/1),P.215より.


 【質問】
 インドは1998年,なぜ核実験を断行したのか?

 【回答】
 「ヒンドゥ国家インドの栄光の実現」のためだという.
 以下引用.

 事の始まりは1998年.
 この年初めの総選挙で,アタル・ビハーリ・バジパイ(1924年生まれ)のBJP(インド人民党)が第一党となった.
 バジパイは首相となり,19の政党による連立内閣を発足させる.

 第1次連立に加わった各党の共通政策綱領に,
「国際社会でインドの規模と国力に見合った地位と役割を獲得するよう努力する」
「核政策を見直し,核兵器を導入する選択肢を行使する」
とあった.
 この2項目は,インド政界の一致した認識を裏付けるもので,極めて重要である.

 この2番目の公約が直ちに実行され,5月に2度の核実験が行われる.
 国民は熱狂的に喜んだが,国を挙げての歓迎ぶりは,日本人の多くに理解し難いようだった.
 その背景は,1番目の公約が雄弁に説明している.
「国際社会でインドの規模と国力に見合った地位と役割」が与えられていないとの不満が,この公約には表明されている.
 核保有国となることにより,その欲求不満を解消し,「国力に見合った地位」を回復しつつあると,国民は受け取っているに違いない.

 政策綱領に流れる,煮え滾(たぎ)るようなこの情念は,BJPのものである.
 BJPは,1925年に組織されたRSS「民族義勇奉仕団」を基盤とする.
 RSSの最高目標は「ヒンドゥ国家インドの栄光の実現」である.
 それに関連し,30年も前,ニューデリーで私(浅井)が目撃した異様な光景を思い出すのだ.
 首都の玄関口,デリー門脇の公園で,総長から集合した制帽・制服姿の青年達が,
「ヒンドゥ主義は至高なり!」
「ヒンドゥ国家,永遠に!」
と叫びながら,軍隊式の激しい訓練をし,講話を受けていたのである.
 これこそ,無気味な存在として,インドの新聞にも書き立てられたRSS団員だが,既に「世界40カ国以上に常駐団員がおり,日本にもいる」
と聞いた.
 その集団が80年にBJPを結成する.
 そして98年,遂に政権を獲得し,核実験で「インドの栄光」を実現したとの熱狂的歓迎に包まれているのである.

 栄光の再生は,インドの英語式地名を,植民地化以前の地名に戻す動きにも現れている.
 2001年から,カルカッタはコルカタに改名された.既にボンベイがムンバイに,マドラスがチェンナイに変わっているのと同じ流れである.
 コルカタの地は,英国がインドを植民地化するときの最初の拠点だったが,英国人に発音し易いように英国式呼称に変えられていた.
 外国人旅行者は戸惑うかもしれないが,インド国民には民族的満足を与えるものだろう.

(浅井信雄「アジア情勢を読む地図」,新潮文庫,2001/12/1,p.176-179,抜粋要約)


 【質問】
 インドの核戦力は,抑止力として有効な状態にはなっているのか?

 【回答】
 2005年現在,そのような状態にはなっていないと考えられる.

核兵器を抑止力として有効ならしめるためにはまず,相手国の先制攻撃があった場合,相手国に対して,第2撃に使用しうる核兵器システムが確実に生き残る必要がある.
 例えば,インドが仮に中国の核脅威を受けた場合,インドの核戦力が第2撃報復戦力として生き残るためには,核システムを分散配備し,防護性の高い施設・サイトに保管するか,もしくは,原子力潜水艦あるいは空中警戒待機する爆撃機に搭載して生き残りを図り,いつでも報復できる状態に維持しなければならない.
 相手側による核攻撃か,もしくは通常兵力の精密誘導システムによる先制攻撃によって核戦力が全滅する状態にあるのでは抑止力としての効果は全くない.15

 インドの核戦力がそのような抑止力として機能する状態に現実としてあるかといえば,いまだそのような状態にはないであろう.
 すなわち,インドがその核脅威に対抗するための最小限抑止力を構築しようと考えているのであれば,まず,高精度の攻撃型核戦力を最小限抑止力としてのレベルまで近代化して配備しておく必要があり,さらに,中国のありうべき核攻撃に対してインドの核戦力が生き残るための実効性のある防御措置をとる必要が生じてくる.16

 以上の点に鑑みれば中国は現在,ICBM30基以上,MRBM100基以上を保有しているが,インドはこれに対する最小抑止力としての核戦力を数的には十分保有していると思われる.
 しかし問題は,核兵器のプラットフォームの多様化と近代化である.
 インド国家安全保障諮問委員会が2001年に核兵器の運搬手段としてミサイル,潜水艦,航空機の3本柱を保有すべきであると提言したのは,インドが抑止力と生き残り性を重視した核戦力運用計画を勧めようとしていることを示唆するものである.
 インド政府は,この提言はまだ政策となっていないとしているが,核戦力を整備する場合には当然行き着く結論である.
 このままインドの核戦力が近代化されると,今世紀中頃までにはトータルな核戦力としては中国を追い抜くことも予想され,中国がこれに刺激されて核の三本柱を充実させた開発計画を進める可能性がある.
 このことは,アジアにおける核軍備競争が再燃する可能性を示唆するものである.

森本敏 in 『南アジアの安全保障』(日本国際問題研究所編,
日本評論社,2005.10.10),p.204-205

 まあ,フランスでも50年かかったんだし.


 【質問】
 インドが核保有に執念を燃やす理由は?

 【回答】
 中国の核脅威に対応する抑止力として.
 また,南アジアの大国としての指導力を確保するため.

 森本敏は,この論理を以下のように批判的に述べている.

 その論理は一貫しており,核開発の最大の理由は,中国の核脅威に対応する抑止力としての核保有であり,同時に,南アジアの大国としての指導力を確保するという覇権主義に他ならない.24
 インドの核開発は,したがって,第一義的にはあくまで中国を念頭に置いたものであり,パキスタンに対応するためというのは第二義的な理由である.25
 他方,インドはグローバルな大国としての強い自負を有しており,そもそも核保有に遅れたため,大国でありながら5核保有国の仲間入りができなかったことに不満を持っていると思われる.
 したがってインドは,全ての核保有国が核廃絶を実現するか,そうでなければ自らが核保有国となる以外にはないという結論に至ったのであろう.
 インドが従来より,核は究極的に廃絶されるべきであり,核保有国は核全廃のタイム・テーブルを提示して全廃に向けた努力をすべきであると主張してきたことは,以上の結論を裏付けるものである.26
 すなわち,核不拡散には主旨として賛成できるし,核実験は禁止されるべきであるが,核保有国は核全廃のタイム・テーブルを明示せず,核全廃に向けた努力をしないどころか,その核兵器・技術を他国に供与するような国,例えば中国の対応は許し難いものであり,核保有国のみによる核独占を認知した不平等条約という性格を持つNPTは受け入れられないというものである.
 CTBTについても核保有国以外の国にのみ法的義務を負わせるものであり,受け入れられないという論理である.27

 もっともインド内で,CTBTは結局,核保有国にも核実験禁止を義務付けるものであり,インドが追求している核開発の阻止,核軍縮の進展に寄与するものであるから,反対するのはおかしいという意見がないわけではない.
 しかしながらインドは,一方でNPTを核保有国による核独占体制と決め付け,核全廃を目指しつつも,それが実現できないという現実の中で自らがNPTの趣旨に反する核開発の途を選択したのであり,これはインドの現実主義をよく表している.28

 しかるに,インドはNPT体制が不平等条約であると主張しつつ,他方において,中国に対する最小限度の核抑止力を保有するという理屈をつけているが,これ自体が論理的に矛盾している.
 さらに,中国の核開発に対する最小限抑止力として核開発を進めるという論理自体が覇権主義的であり,核戦力に対応するのに核開発によって抑止力を構築するという選択を冷戦後に行ったところに,インドの時代錯誤的発想がある.

 また,インドによるこのような核戦略の見方は,例えば,日本が米国の核抑止の傘の下にあって国家の安全保障を確保しているのは,日本が核を装備しているのと事実上変わらず,したがって,他国の核開発に異論を唱える立場にはないという意見をとるインド人が多いことに示されている.
 このことは,核の脅威に対しては核による対応しか存在しないという伝統的な冷戦期のパワー・バランス理論以外で核抑止を考えることのできない思考であり,かかる思考自体が論理的に破産しているといわざるを得ない.
(24) Jasjit Singh, Nuclear India, Institute for Defence Studies and Analyses, New Delhi, 1998.
(25) Neil Joeck, "Access Asia Review: Nuclear Developments in India and Pakistan, "The National Bureau of Asian Research (NBR), July 1999.
(26) George Perkovich, "India's Nuclear Weapons Debate : Unlocking the Door to the CTBT," Arms Control Today, May/June 1996.
(27) A. Z. Hilali, India's Strategic Thinking and Its National Security Policy," Asian Survey, Vol.XLI, No.5, September/October 2001, pp.737-764 および Walter Andersen, "Recent Trends in Indian Foreign Policy," Asian Survey, Vol.XLI, No.5, September/October 2001, pp.765-776.
(28) Deepa M. Ollapally, "Mixed Motives in India's Search for Nuclear Status," Asian Survey, Vol.XLI, No.6, Nobember/December 2001, pp.925-942.

森本敏 in 『南アジアの安全保障』(日本国際問題研究所編,
日本評論社,2005.10.10),p.207-209

 もっとも,中国の核戦力に対応するのに,他の方法があるか,となると…….


 【質問】
インドの核,軍民分離で米と合意…核保有,国際認知へ
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060302i114.htm

という記事が出たのですが,これは6番目の核保有国としてインドを認める,ということでしょうか?

>合意は,インドが民生用核施設に対する保障措置を受け入れる代わりに,
>米国を始め国際社会が事実上,インドの核計画を承認することを意味し,

 なぜインドが核関連施設を軍事用と民生用を分離すると,国際社会が事実上,インドの核計画を承認することになるのでしょうか?
 軍事用は軍事用で核放棄するよう圧力をかければいいのでは?

 【回答】
 圧力じゃ埒が明かんということでこうなったわけでしょ.
 既にインドが核技術と核兵器を保有していることを無視して,
「何が何でも核保有は認めん!」
と言っていても仕方がない.
 むしろそう言いつづけることで,かえってインドが勝手に核技術や核兵器を自分たちの判断で勝手に運用してしまう危険がある(というか既にそうなりかかっている)
 それならば,既にインドが核武装し核技術を持っていることを容認した上で,最低でも民生用核技術を監視,管理する枠組に組み込もう,ということ.

 100%野放しよりは1%でも監視,管理できる方がマシでしょ.

軍事板

 核拡散防止条約(NPT)にインドが加盟しているいない,ばかりが取り上げられている本件です.
 しかしその本質は,米が打ち出した「インドとのきわめて高度で現実的な戦略関係の構築」であり,原子力は「ツール」(だし)に過ぎません.
 したがって本件とイラン問題は次元が全く違う話で,同列で論じてはいけない性質ですね.

 なお,いろいろかしましい核兵器保有に関する議論については,現実的には「95年の「NPT無期限延長」以前に核兵器を取得していたか否か」がすべてのカギを握っているようです.

 わが国と本件に関して,EEE会議の金子さんは3月26日,以下のような見解を示しておられます.

「・・・

 インドを「別格」として国際政治上の大国たる責任を持たせたほうが,核拡散防止にも国際平和の維持にもプラスになるというポジティヴな発想に切り替えることこそ重要だと思います.
 とくに日本の場合,対中戦略の一環として「インド・カード」を重視する必要があります.
 日米同盟に加えて,日印がスクラムを組んで中国を牽制(必ずしも敵対ではない)することが肝心で,そのための原子力協力を進めるべきです.
 さらに言えば,インドの原子力発電を支援することは地球温暖化防止にもプラスです(この点は対中原子力協力も同じ).
 このようにできるだけ多角的,総合的に日印関係を見るべきで,核・原子力という狭い視点だけで論ずるのはむしろ危険だと思います.
 ブッシュ政権は極めて戦略的にインド問題を考えているわけで,この点は日本も見習わないといけません.

 5.最後にただ1つ,日本特有の難しい問題点があるとすれば,言うまでもなく,日本は世界で唯一の被爆国であり,反核(非核)感情が根強く,曲がりなりにも核軍縮(第6条)を謳うNPTを是とし,これを堅持しようとする気持ちが強いことです.
 小生は,日本人のNPTに執着する気持ちは,あたかも憲法第9条にしがみつく気持ちに似ていると考えています.現実主義より理想主義を良しとする心理です.
 しかし,言うまでもなくNPTは決して万能ではなく,これを金科玉条視すべきではありません.出来るだけ早期にNPT至上主義を改め,事なかれ主義の硬直した日本の核・原子力外交を大きく転換すべき時です.

 とりわけインドをNPT非加盟,核兵器保有というだけで色目で見,疎外するのは不適当かつ不得策です.
 このことを政治家や役人,一般国民に理解し,納得してもらう必要があります.そのためにはもっとインド問題に関心を持ってもらわねばなりませんが,そうするには現在の日本のマスコミのインド問題に関する報道や論評はあまりにも低調すぎます.
 ここをどう打開するかが当面最大のポイントであると考えます.

・・・」
(3/26 EEE会議

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)4月10日

 【質問】
 ということは,アメリカは6番目の核保有国としてインドを正式に認めたわけですね.

 でも,そういった形で認めてしまうと,インドが核保有国として国際社会に認められるに至った軌跡を辿りさえすれば,いかなる国でも,技術さえあれば核兵器を持つことが可能になるのでは?
 だって,組み立てて実施テストまで持って行ってゴネればいいわけでしょう?

 【回答】
 インド・パキスタンは核拡散防止条約に最初から加盟していません.
 国際慣習法には「一貫した拒否」とか「一貫した反対国」とかいうものがあって,ある決まりごとが(明文化されていようといまいと)始まったその当時からずっと反対し続けている国に対しては,その決まりごとを強要できないというものがあります.
 つまりインド・パキスタン,それに核拡散防止条約に加盟していないイスラエルやキューバに対して,
「核兵器を持つな」
という決まりを押し付ける国際法上の根拠が無いのです.
 インドが「辿った道」というのは「NPTに加盟しなかった」ということで,この道を辿ることができるのはほんの数カ国しかないのです.
 NPTの加盟国は181カ国もあるわけですから.

 イラクや北朝鮮は,NPTに加盟していながら核武装を図ったので,とりわけ問題視されたと言えます.
「辿りさえすればいいわけでしょう?」
と一言で言っても,そうできるかできないかは国によって置かれた状況が異なるし,当然「辿る」過程で他国は圧力を掛けて計画を潰そうとするでしょうね.

 それにインドって,あれだけの人口を抱えながら,食糧も資源もそのほとんどを自給自足しているという,かなり特異な国なんですよ.
 だから,核保有を理由に経済制裁を科しても効果が薄い.
 インドが核保有を認められた背景には,インドが世界有数の大国だという他に,そうした理由もある.